田舎暮らし&通える田舎暮らし


「住環境」を変えるために田舎に移住した家族、また、職場に通える程度(通勤時間90分以内)の田舎に暮らす家族を紹介していきます。

*Rootsスタッフによるインタビューです


vol.1 水田ウタコさん 京都府綾部市

初回は、今、Iターン移住者に人気の京都府綾部市で暮らす、水田ウタコさん一家。2人の息子さんと1歳の娘さんと、夫婦仲良く暮らされている様子を知り、同じく京都に「通える田舎暮らし移住」をしてきた藤嶋が、興味津々で、その暮らしぶりを拝見! 移住までの経緯や、田舎暮らしの楽しさ、大変さなど、根掘り葉掘り聞いてきました。
※昨年インタビューしたものですがRootsの都合によりアップが大変遅くなってしまいました。深くお詫び申し上げます。

何もないと思っていた田舎のほうが

子どもと楽しめることがいっぱいあったんです!

藤嶋:綾部に引っ越した経緯について教えていただけませんか?

ウタコさん(以下敬称略)平成26年の3月に引っ越してきました。私は、広島県福山市。夫が京都府福知山市。夫婦とも田舎出身なので、自然いっぱいのなかで育てたいという思いは、最初からあったんです。引っ越す前は、大阪市内に住んでいました。長男だけの間は、さほど気にならなかったのですが、次男が生まれて男の子二人に。当時、中古マンションを買って住んでいたんですが、公園に行くのも一苦労。二人を自転車に乗せるか、二人の手をつないで狭い車道を歩くか。車も持っていませんでしたし、これがずっと続くのかと思うと大変だなぁと。そういう住環境の理由が、まずありました。それと、震災後の瓦礫焼却が始まって、これもちょっと気になっていました。便利な大阪市内に暮らす利点よりもデメリットの方がちょっとずつ増えて、気持ちが田舎に向いていきました。

藤嶋:ご主人のお仕事は?

ウタコ:転職しました。今は、福知山で会社勤めをしています。福知山までは車で20分ぐらいなので、綾部で暮らす人は、舞鶴や福知山あたりに働きに行っている人が多いですね。大阪の会社では海外転勤の可能性があると聞いていたので、そのチャンスを狙っていたのですが、不況のあおりを受けて、ほぼ可能性がなくなったんです。

藤嶋:移住するにあたって、家から探しましたか? それともご主人の仕事から?

ウタコ:両方同時に、かもしれません。田舎暮らしを考え始めたとき、まず「温かい」ところ、かつ「お酒の美味しい」ところ、という条件で探したんです(笑)。岡山、鹿児島、高知あたりに目が向いていました。岡山は移住者の受け入れ態勢が整っていて、移住セミナーや移住フェアなどをしているので何度か行きました。でも、家と仕事が同時に見つからなかったんです。

「綾部は都会からの移住者を受け入れている」と聞いて、初めてネットで調べてみたら、「めっちゃいいやん!」と。でも、この家について言えば、応募したのはわが家だけだったみたいです。面接をして、市役所の方の立会いのもと、家の中も見学もさせてもらってから、移住を決めました。市の職員さんたちは「二人も子どもが増えてうれしい」という感じでした。もう一人(生まれたので)増えましたけど(笑)。引っ越しに際しても、市がいろいろサポートしてくれました。この家は、暮らしていたおばあちゃんが亡くなり、2年ぐらいは空いていて、離れて暮らす息子さんが手入れしにこられていたようです。

入居できることになったのと同時に、夫の仕事も決まり、たまたま、家と仕事が見つかったから綾部に決定した、という感じです。でも、当時決まっていた仕事と、今の仕事は違います。1社目は、これまでの経験に近い仕事だったんですが、諸事情により転職。2社目は、給料は少し辛いかなという不安はありました。私も二人目妊娠中だったのですが、細々仕事をして、なんとか乗り越えて……。

藤嶋:やはり紆余曲折あったんですねぇ?
でも、夫婦二人の価値観が合うから支え合えるのでしょうね。

ウタコ:そうですね。お互いの育った環境の影響は大きいでしょうね。田舎で育ったというのがあるので。むしろ、都会での子育てがイメージできなかったというのもあります。

藤嶋:仕事探しも家探しも、一回でうまくやろうとすると少し無理が出てしまうのかもしれませんね?

ウタコ:あぁ、そうかもしれませんね。やっぱり田舎と都会では、仕事の数が全然違うので。好きなところ選べるという認識でいましたが、「これしかありません」という感じなんです。賃金も違いますね。そういうギャップがありました。

藤嶋:子どもさんたちはいかがですか? すぐに馴染めましたか?

ウタコ:3月に引越してきて、4月から二人とも保育園に入れました。地元の情報は、子供から情報を得ているほどです。「順応性が高いなぁ」と驚きました。一ヶ月ぐらいは、馴染むのに時間がかかったみたいですけど、それ以降は、特に心配することもなくて。言葉も、すっかり綾部弁です。「ちゃった弁」っていうんですけど、「しちゃった」「食べちゃった」とかいうんです。でも、それが敬語なんですよ。

藤嶋:なんだかかわいいですねぇ〜 ファミリーでの移住、やっぱり多いですか?

ウタコ:綾部は移住者、すごく多いですよ。移住者同士で集まる機会も多いですしね。

藤嶋:それはいいですね。親子で移住したものの、馴染めずに、その土地の方ばかりで入れなかったので、そこでの定住をあきらめた知人がいるんですよ

ウタコ:都会から田舎に移住した人同士で話すのと、生まれも育ちも土地の人というのはやはり違いは感じますね。だから、私は両方と交流するようにはしています。

藤嶋:移住者の方と、地元の方、保育園ではどのぐらいの割合ですか?

ウタコ:家の近所は、田舎暮らし目的での移住の方は見かけませんね。綾部のなかには移住者の多い地域というのもあるのですが、ここはそういう地域ではありません。でも、近くに大きなニュータウンがあって、そのエリアの方と保育園が一緒なので、保育園には移住者も結構います。そのニュータウンの場合は、仕事の都合上、移住してきたという人もいるようです。ニュータウンのおかげで、子どもの数は多いので安心です。実は、このあたりはクマも出るんですよ(笑)。集団登校で鈴を鳴らしながら行くんです。もうすぐ、ここから車で5分のところに引っ越すのですが、引っ越し先は、子どもも少ないみたいです。今の家は3年限定という条件で借りていて、まだ少し猶予はあるのですが、上の子が小学校に入るタイミングで引っ越してしまおうかと。

広い土間も魅力の古民家。玄関に高さがあるので泥のついた靴も気にしなくてよさそう!
広い土間も魅力の古民家。玄関に高さがあるので泥のついた靴も気にしなくてよさそう!

藤嶋:子どもがいると引っ越すタイミングって大切ですよね。
 次も、やはり古民家ですか? 子どもさんは古民家を怖がりませんか?

ウタコ:古民家です。子どもたちは、いやがったりはないですね。女の子が怖がるって言うのは、虫とかですか?(笑)

藤嶋:まず雰囲気が怖いみたいです。

ウタコ:若いころはそうかも(笑)。それもわかります。

藤嶋:古民家で暮らしてみてびっくりしたことはありますか?

ウタコ:寒い!(笑) 夏は本当に扇風機すら要らないほど涼しいけれど、冬になると、それはもう! 薪ストーブでもあればいいんですけどね。夜に寝る時、おっぱいをあげるのが本当に寒いです。でも、田舎の暗さがいいんです。ものすごい数の星が見えます。それはもう、酔ってしまうぐらい。都会だと、星なんて数個見えるだけですよね。家から少し入ったところでは、ホタルも見ることができます。

藤嶋:土間も素敵ですし、家のなか涼しそうですよね!
 やっぱり寒いですか?

ウタコ:寒いですよ。雪下ろしの必要はないんですが、三回ぐらい大雪が降りました。一昨年(2015年)は、お正月に出かけていて4日に帰宅したら、家に入れませんでした。屋根から落ちた雪が2mも積もってたんですよ。この辺りは、綾部の中でも雪はマシな方で、道路も1〜2日で通れるようになるのですが……。

藤嶋:福山ご出身ということは雪のある暮らしの経験は、ご主人だけですよね?

ウタコ:そうなんです。私は、雪なんて全然見たことないようなところだったので、唯一の心配事でもありました。雪道の運転も心配でした。でも、なんとかなるもんですね(笑)。

藤嶋:過ごし始めると楽観的になりますよね?

ウタコ:そうですね。秋になると待ち遠しくなるぐらい。特に、子どもは雪が待ち遠しいみたいで。

藤嶋:そうなんですよね。
 寒いと言いつつ、うちの娘たちも雪が好きです。
 ただ、思春期女子は都会が好きみたいで。

ウタコ:あ、長男はたまに大阪に行くと、「やっぱり大阪がいい」と言いますよ。理由は「車がいっぱい」「電車がいっぱい」「ビルがいっぱい」っていう感じですけどね。

息子さん作の迷路
息子さんのダイナミックな絵が人気! 地域の新聞の題字を描いたことも

藤嶋:息子さんの描く絵も素敵ですよね!!

ウタコ:ありがとうございます。私は、すごく苦手意識が強くて。でも、夫が絵が好きなので、長男はその血を引いてるのかも。面白いですよね。大人の発想では出てこないようなものばかり。

藤嶋:ご主人は美術系の方ですか?

ウタコ:プロダクトデザインです。今は全く違うことしていますけどね。

藤嶋:またそういうクリエイティブ系の仕事に戻りたい!ということはなさそうですか?

ウタコ:本人としては、そこでお金を稼ぐのはちょっと難しいと思っているのかもしれません。仕事は意外にサラリーマンが向いていて、めっちゃ楽しく働いてくれています。移住者は自営業の人が多いんですけどね。

藤嶋:保育園はすぐに入所できたそうですが移住してすぐに、ウタコさんもお仕事をされたのですか?

ウタコ:引っ越してきて、就職活動を理由に3ヶ月入れました。その間に、仕事を見つけて、私も妊娠中に短期の仕事をしました。今は、自営業の準備をしています。まだはっきり決めていないのですが、セレクトショップなどでもいいですし、いろいろアイデアを考えているところです。

藤嶋:それは楽しそうですね!

ウタコ:次に引っ越す家には「離れ」が二軒あるんですよ。それをうまくオープンスペースみたいな感じで使えたらいいな〜と思っています。基本的なリフォームは業者さんにお願いして、あとは、自分で地道にDIYできたらと思っています。

藤嶋:漆喰とか塗られるんですか?

ウタコ:そうそう、楽しそうですよね。綾部って、リフォームなども自分でやっている人が多いので、すごく刺激があります。

藤嶋:半農半Xの塩見さんの影響も?

ウタコ:あ、そうですね。でも、実は、綾部に移住者が多いとか、塩見さんがいらっしゃるとかは知らなかったんです。綾部に来てから、びっくりしました(笑)。

画伯が描いているところ。目がキラキラしていて、人懐こかい息子さん2人
画伯が描いているところ。目がキラキラしていて、人懐こかい息子さん2人

藤嶋:田舎に引っ越してきたメリットは、どんなことでしょうか?

ウタコ:大阪で暮らしていたころ、「このまま子供が大きくなって、こんな高校行って、こんな生活して……」と、先行きがなんとなく見えてしまったんですね。かといって、お給料が増えるわけじゃなく、「このままの生活が続くんだろうな」という「どん詰まり感」みたいなものを感じてたんです。都会は、お金を払えば、いろいろな面白い展覧会やイベントにも参加できるし楽しい。でも、その楽しさも、種類の幅が見えてしまったような感覚があって。でも、こっち(綾部)に来たら、楽しみの種類が広がりました! 「食べたことない」「行ったことない」「したことない」ということがいっぱいあって。まだまだ、楽しいことがいっぱいあるんや!ってことに気づきました。

藤嶋:田舎の方が、何もない気がしてしまいますけどね?

ウタコ:それが逆だったんです! 子どもがいない時、20代前半のころは、自分の働いたお金があって、自分のために使って、夜に出歩いても大丈夫だから、ライブや、飲み、旅行に行くとか、そういう遊び方をしてたけど、子どもが生まれると違いますよね。子どもがいるなかで遊べることが、こっちの方に来て増えました。

藤嶋:例えばどんなことですか?

ウタコ:例えば「まこもだけ」。田んぼの畦に生える、細い竹のこみたいなものなんですが、大阪時代は名前も知らなくて。栄養素が高くて、デトックス効果もあるそうなんですが、それが綾部だと田んぼでボコボコ育っているんです。もちろん店でも売っていますが、近所の方に誘っていただいて、今度、その「まこもだけ」を狩るんです。大阪に住んでる時には、月に1回ぐらい、たまに田舎に行くのが娯楽だったけど、今は逆転していて、2〜3か月に一回、大阪に行く。それぐらい(の割合)でいいわ、と思います。

藤嶋:「楽しめること」って本当はいくらでもあるはずですよね?

ウタコ:そう。大阪時代にはそれに気づいてなくて、お金を払わないと楽しめないんじゃないかと思っていました。「子どもを遊ばせる施設」に行かなきゃ!って。それはそれで楽しかったのですが。

藤嶋:施設に行く楽しみもありますし「それは良くない」と言われるとそれもしんどいですよね。いろいろな遊びを「雑食」できる人は、田舎暮らしが楽しめるのかもしれませんね。

ウタコ:あ、確かに。私も雑食です(笑)。

レンタル農園の2区画分以上あると思われる農スペース。子どもたちはキウイを採っては持ってきてくれた
レンタル農園の2区画分以上あると思われる農スペース。子どもたちはキウイを採っては持ってきてくれた

藤嶋:ご主人はどうですか? こちらに来て変わられました?

ウタコ:変わったわけではありませんが、畑しているのを見ると、すごく楽しそうです! 仕事があるから、ガッツリ畑に関われないので、ある程度、放置しておけるものを育てています。

藤嶋:ウタコさんが商売を始めたいことについては、ご主人も賛成しておられますか?

ウタコ:賛成はしてるけど、手伝えない(笑)と言われています。夫は、田舎のおじいちゃんおばあちゃんにすごくウケがよくて。だから、会合などは、夫に任せています。回覧板持って行ったら、何か持たせてもらって帰ってくるタイプです。ジャガイモとか(笑)。

藤嶋:田舎暮らしをするにあたってなにか気をつけていることはありますか?

ウタコ:良くも悪くも、あまり深入りしていない、っていうのはあるかもしれません。ちょうどいいぐらいの関係性。距離感って難しいですよね。

藤嶋:不便なことは?

ウタコ:今のところは特にありません。街まで出たら買い物できますし。少し大きなところで買い物したいというときには、福知山が舞鶴に出ますが、それも30分もかかりません。

藤嶋:都会に戻りたいとはもう思いませんか?

ウタコ:そうですね。子どもたちが大きくなるまでは。巣立ってからは、また都会に戻ってもいいかな?とか、柔軟に考えたいです。「ここに永住」と決めているわけじゃありません。長く住みたいけれど。

藤嶋:先の問題として考えられるのは、高校ぐらいでしょうか?

ウタコ:そうですね。綾部は高校は一つしかないので、舞鶴や福知山の高校に電車で通う人も結構いるようです。子どもたちは、いずれ「都会」を見るでしょうし、大人は「田舎」を見る。そのころに、また悩むのかもしれませんね。


第3子の娘ちゃんは、綾部生まれ綾部育ち。のびのび育ってどんな女の子になるのか楽しみですね!
第3子の娘ちゃんは、綾部生まれ綾部育ち。のびのび育ってどんな女の子になるのか楽しみですね!

*ウタコさんのプロフィール*

水田 ウタコ(みずた うたこ)
広島県出身1980年生まれ
京都、沖縄、大阪での生活を経て2014年3月より京都府綾部市在住。

長男6歳(平成21年生まれ)
次男3歳(平成24年生まれ)
長女1歳(平成26年生まれ)

*ミズタマート
https://www.facebook.com/mizutamart

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